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神戸地方裁判所 昭和50年(わ)615号 判決

本店の所在地

尼崎市杭瀬北新町一丁目三番地

共栄電器工業株式会社

(同代表者 柳楽喜祐)

本籍

尼崎市常光寺西ノ町一丁目四七番地

住居

同市杭瀬北新町一丁目五番地

会社役員

柳楽喜祐

大正一一年七月六日生

主文

被告会社共栄電器工業株式会社を罰金一、五〇〇万円に処する。

被告人柳楽喜祐を懲役八月に処する。

被告人柳楽喜祐に対しこの裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人らの連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社共栄電器工業株式会社は、兵庫県尼崎市杭瀬北新町一丁目三番地に本店を置き電気機器、配電盤の製作販売及び電気工事の請負等の事業を営むもの、被告人柳楽喜祐は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人柳楽は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、

第一  昭和四六年九月一日から同四七年八月三一日までの事業年度における実際の所得金額は五、七七六万九、六一一円、これに対する法人税額は二、〇五二万五、六〇〇円であるのにかかわらず、売上げを除外するとともに架空仕入れを計上するなどして得た資金を架空名義の預金とするなどの不正の方法により所得の一部を秘匿したうえ、同年一〇月三一日、所轄尼崎市西難波町一丁目八番一号所在の尼崎税務署において、同署長に対し、所得金額が一、一九三万三、八九八円、これに対する法人税額が三七〇万一、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同事業年度の法人税一、六八二万四、〇〇〇円を免れ、

第二  同四七年九月一日から同四八年八月三一日までの事業年度における実際の所得金額は、一、八四五万八、七六一円、これに対する法人税額は五八五万九、六〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正手段を講じたうえ、同年一〇月三〇日、同税務署において、同署長に対し、所得金額が一、三一〇万〇六二八円、これに対する法人税額が三八九万七、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同事業年度の法人税一九六万二、四〇〇円を免れ、

第三  同四八年九月一日から同四九年八月三一日までの事業年度における実際の所得金額は、一億六、八二六万六、六九九円、これに対する法人税額は六、五八九万三、九〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正手段を講じたうえ、同年一〇月三一日、同税務署において、同署長に対し、所得金額が二、五七四万六、〇二三円、これに対する法人税額が八九一万〇、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同事業年度の法人税五、六九八万三、一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(九通)

一、初田洋子の検察官に対する供述調書(二通)

一、初田洋子の大蔵事務官に対する昭和五〇年四月一八日付、同年五月八日付、同月一三日付、同年六月六日付(二通)、同月一八日付、同月二四日付及び同年七月二日付各質問てん末書

一、秦章の検察官に対する供述調書

一、秦章の大蔵事務官に対する昭和五〇年四月二五日付及び同年六月九日付各質問てん末書

一、錦織匀の大蔵事務官に対する昭和五〇年四月一四日付、同年五月一六日付及び同年六月九日付各質問てん末書

一、園山篤の大蔵事務官に対する昭和五〇年四月一四日付、同年六月二七日付及び同年七月二二日付各質問てん末書

一、国税査察官土谷昭広作成の昭和五〇年七月三日付及び同月二五日付各調査報告書

一、国税査察官広木進作成の昭和五〇年三月一九日付調査報告書

一、被告会社の登記簿謄本及び定款

一、被告会社の法人税確定申告書謄本(三冊)

一、押収してある46・8期元帳一綴(昭和五一年押第二二九号の一)、同期金銭出納帳一冊(同号の二)、同期売上帳(同号の三)、同期仕入帳一綴(同号の四)、47・8期元帳一綴(同号の五)、同期経費明細帳一綴(同号の六)、同期銀行勘定帳四冊(同号の七)、同期手形記入帳一冊(同号の八)、同期売上帳一綴(同号の九)、同期仕入帳一綴(同号の一〇)、同期手形受払帳二冊(同号の六三)、48・8期元帳一綴(同号の一一)、同期経費明細帳一綴(同号の一二)、同期売上帳一綴(同号の一三)、同期仕入帳一綴(同号の一四)、49・8期元帳一綴(同号の一五)、同期経費明細帳一綴(同号の一六)、同期銀行勘定帳四冊(同号の一七)、同期手形受払帳二冊(同号の一八)、同期売上帳一綴(同号の一九)、同期仕入帳一綴(同号の二〇)、50・8期売上帳一綴(同号の四七)、同期仕入帳一綴(同号の四八)、46・47年度売上帳一綴(同号の四九)、48・9ないし49・9期売上帳一綴(同号の五〇)、45ないし47年度仕入帳一綴(同号の五一)、ノート一冊(同号の五三)、及び債権代金計算書一枚(同号の五九)

(法令の適用)

被告会社共栄電器工業株式会社について

法人税法一六四条一項、一五九条一項、刑法四五条前段、四八条二項

被告人柳楽喜祐について

法人税法一五九条一項(懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、二五条一項一号

訴訟費用について

刑訴法一八一条一項本文、一八二条

(出席検察官)

伊関義正

(裁判官 河田貢)

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